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私がホームレスだったころ 台湾のソーシャルワーカーが支える未来への一歩
李玟萱/台湾芒草心慈善協会 企画/橋本恭子 訳
出版社:白水社
出版年:2021年07月
コード:   354p   ISBN/ISSN 9784560097939
 
価格 2,530円
  <東京店在庫有り>
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台湾の10人のホームレスと、彼らを支援する5人のソーシャルワーカーの人生を鮮やかに描くルポ。

「バクチ、酒、薬物、借金、倒産、病気――、いろんな理由で人はホームレスとなる。みんな不器用で人間臭く、だからこそ愛おしい。ここには、『助け合いの原点』が描かれている。」
――雨宮処凛氏推薦!

コロナ禍で住まいを失う人が続出し、貧困問題がかつてないほど深刻な状況となっている現在の日本。ホームレスを「明日は我が身」と多くの人が身近に感じるような事態が続いている今こそ、ホームレスへの理解と、支援についても多様な面で考え、実践していく必要がある。そのために本書は有益な一冊となる。
ホームレスというと、「路上生活者」や「仕事をしていない人」というイメージが強いかもしれない。しかし、本書を読むと、その固定観念こそが、ホームレスの人たちを社会から排除することになり、支援の弊害になっていると思い知らされる。
作家・作詞家で、社会的マイノリティに関心を寄せる著者が、台湾のホームレスと支援団体を取材して本書を書き上げた。台北国際ブックフェア・グランプリ、金鼎賞を受賞するなど高く評価された話題作の待望の邦訳。

第1部では、台湾のホームレス10名の人生の物語が鮮やかに描かれる。彼らの背景はそれぞれ複雑で、産業構造の変化から漏れてしまった人、心身障害を負った人、借金を抱えて家族との縁が切れてしまった人、かつて反社会的組織に属していた人など、ホームレスの置かれた状況が多くの点で日本と共通していることがわかる。どん底の状態でも、皆が仕事への意欲を持ち続けており、「ホームレス」の固定観念を打ち破られる。

第2部では、ソーシャルワーカーやボランティアなど、支援者5名の人生に光を当てる。なぜ彼らがホームレス支援に情熱を注ぐのか、その理由を知ることができ、支援者の背景や価値観も様々で、誰もが支援者になれることがわかり、支援へのハードルを下げることにもつながる。様々な支援団体が紹介され、活動内容も食事の提供から自立支援プログラム、新たなビジネスの創出に至るまで多様な試みが紹介されている。日本の活動を参考にしたものもあれば、私たちが参考にできそうなものもある。女性ホームレス支援についても詳しく触れられている。

コロナ禍で深刻さを増す貧困問題の支援について、「自助・共助・公助」を強調する日本政府の方針とは逆に、本書では「公助→共助→自助」の行政の支援システムを可視化している点も重要である。日本の現状や今後について考える上でも本書は示唆に富む。台湾の事例から日本の貧困とホームレス問題を捉え直し、一人一人の意識改革の一歩となることを期待したい。巻末に、台湾の支援団体とともに活動に取り組んできた中山徹(大阪府立大学名誉教授・大阪市立大学都市研究プラザ特別研究員)の解説を付す。

目次:
刊行に寄せて(張献忠)
はじめに 一人の「人間」に戻ること(李玟萱)

第一部 路上の人生
 彼女と出会ってから――王子
 故郷に帰りたい――周爺さん
 苦労人たちの面倒を見る――阿新
 天理と私欲の戦い――強哥
 飢餓の味――趙おじさん
 八〇〇万元はおれのもの――越さん
 耳の奥に響く音――晃晃
 磨かれていない玉――阿輝 
 自殺と再生――阿忠
 街頭クラブの夢――阿明

第二部 路上のソーシャルワーカー
 台北市政府初のホームレス支援アウトリーチワーカー――楊運生
 長い目で見て、力になる――張献忠
 元には戻れない――梅英姉さん
 女性ホームレスから必要とされる場所にいる――サマリア婦女協会
 ホームレスの話し相手――翁パパ
 路上の神話――李盈姿
 居住から考えるホームレスの社会的援助の現状――許哲韡

第三部 路上の仕事

第四部 ホームレスの「家」

訳者あとがき
解説(中山徹)
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