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鄭清文とその時代 郷土を愛したある台湾作家の生涯と台湾アイデンティティの変容 上製
松崎寛子
出版社:東方書店
出版年:2020年06月
コード:00891   304p   ISBN/ISSN 9784497220110
 
価格 5,500円
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日本統治時代に生まれ、終戦・旧国民党独裁時代・民主化と進む激動の戦後台湾を生きた作家鄭清文。2017年に逝去すると当時の台湾文化部部長であった鄭麗君は彼を悼んで「国宝」級作家と称えた。彼の作品は台湾の「国文」教科書にも掲載され、台湾の若者の間で知名度が高い彼の作品の多くは日本統治時代や都市と地方の関係、環境問題などに触れる。そして彼の作品の主要登場人物はスティグマ――一般と異なることから差別を受けがちな属性――を持つ。本書では彼が登場人物にスティグマを持たせた理由や彼の生い立ちなどを通じて、彼の作品に込められた心や寓意を読み解く。

著者の言葉
鄭清文は二〇一七年に八五歳で亡くなった。日本統治時代を経験した最後の世代が消えていき、新しい世代が新しい台湾文学を創り出している。そうした中で、本書が日本統治時代に生まれた作家がどのように日本植民地の記憶を残そうとしたか、そしてどのように「郷土」台湾を描き、次世代の子供たちに伝えようとしたか、そしてどのように彼らの文学が台湾で受容されたかを究明したことは、台湾文学の系譜を辿る中で非常に重要な意味を持つであろう。(「終章」より)

目次:
口絵
推薦文(藤井省三)
まえがき
第一部 鄭清文の文学とその時代 変容する台湾アイデンティティ
 第一章 「台湾アイデンティティ」とは何か
  第一節 本書の課題
  第二節 論文の構成
  第三節 先行研究
 第二章 台湾作家鄭清文の生い立ちと作品の流れ
  第一節 鄭清文の経歴
  第二節 作家デビュー
  第三節 「二つの幼年時代、二つの故郷」―農村と旧鎮の登場まで
 第三章 歌に託した台湾アイデンティティ
  第一節「我要再回来唱歌」について
  第二節 鄭清文作品における言語問題の描写
  第三節 「雨夜花」
  第四節 一九七九年前後の台湾歌謡の地位
  第五節 自己表現としての歌
  小結
 第四章 鄭清文作品における日本統治期の記憶とアイデンティティの形成
  第一節 鄭清文の日本統治期体験の記憶―語り手「私」
  第二節 スティグマが意味するもの
  第三節 中編小説「大和撫子」におけるジェンダーと日本統治期の記憶
  小結
 第五章 『旧金山―一九七二』における在米台湾留学生表象
  第一節 鄭清文のアメリカ体験―『旧金山―一九七二』について
  第二節 『旧金山―一九七二』とその時代
  第三節 あいまいなアイデンティティの行方
  第四節 『異邦人』としてのアイデンティティ
  小結

第二部 鄭清文と児童文学
 第六章 郷土におけるアイデンティティの創造と想像
  第一節 児童文学の登場
  第二節 海洋文化圏の中の台湾―「燕心果」、「白沙灘上的琴声」
  第三節 孤児意識からの脱却とユートピアとの惜別―「鹿角神木」、『天灯・母親』
  小結
 第七章 鄭清文児童文学における「郷土」と「政治」―童話集『採桃記』を中心に
  第一節 童話集『採桃記』について
  第二節 児童文学の政治性、童話と寓話のはざまで
  第三節 夢であることの政治性
  第四節 郷土の再生の物語
  小結

第三部 台湾社会における鄭清文文学の受容と発展
 第八章 教科書における鄭清文文学受容にみる台湾アイデンティティの変容―台湾の高校「国文」教科書における台湾文学の分析から
  第一節 鄭清文、台湾文学と「国文」教科書
  第二節 台湾における高校「国文」教科書の歴史
  第三節 龍騰文化出版社「国文」教科書における鄭清文「我要再回来唱歌」―新検定制度の開始と「国文」教科書における台湾文学
  第四節 「国文」教室における鄭清文文学
  第五節 高校「国文」教科書における台湾文学の行方
  小結
 第九章 ノスタルジアとしての鄭清文文学―舞台劇『清明時節』と台湾アイデンティティ
  第一節 文学テクストについて
  第二節 舞台劇『清明時節』
  小結
 終章
 付録:台湾人作家・鄭清文先生インタビュー

謝辞
年表
参考文献
索引

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