2006年度日本ビジネス中国語学会
第15回ビジネス中国語(商务汉语)
2級検定試験問題 解答と解説

第1問 中文日訳
 

 

 

 

(解答例)
1.都市部住民の一人当たり可処分所得は10,494元に達し、農村住民の一人当たりの純収入は3,255元となり、価格要因を差し引くと、それぞれ9.6%、6.2%の伸びとなった。

2.産業構造の調整と最適化・高度化を進めることは、経済成長方式を転換し、経済成長の質的向上をはかるための重要な方途と差し迫った任務である。

3.国は条件のある企業が海外に進出し、国際ルールに従って海外に投資、多国籍経営を展開、海外に加工拠点を建設、営業販売サービス網を構築、研究機関を開設することを支援する。

4.当方の規格要求に合ったサンプル機を試作することは出来ますか。

5.貴9月9日付け書簡に接して時すでに久しくなりますのに、ご返事申し上げず失礼の段ご容赦願います。

6.当社は2005年末に中国銀行青島支店より固定資産を抵当に入れる形で半年期限の短期ローンを受け、2006年5月中旬に元利共に返済済みとなっている。

7.この会社は海外市場を積極的に開拓することが出来れば、赤字を転じて黒字化が期待できる。

8.A社は主に顧客に各種のコンサルタント等のサービスを提供し、それに見合う費用を得ており、仕入・販売は行っていない。

9.公司(会社)は分公司(支社)を設けることは出来るが、分公司(支社)は企業の法人格を具備せず、その民事責任は公司(会社)が引き受ける。

10. 株式有限会社は、会社定款、株主名簿、株主大会の議事録、財務諸表を本社に備え置かなければならない。

 

(解説)

 

2006年3月の全国人民代表大会での温家宝首相の政府活動報告。"人均"は「一人当たり」、"可支配收入"とは「支配できる収入」との意味から日本語では「可処分所得」となる。ここで言う価格要因は物価変動による要因を指す。
 

 

"优化"とは"加以改变或选择使优良"のことで、ここでは日本語の「最適化」に当たり、"升级"は「グレードアップ」であるが、ここではマクロ経済に関連する意味合いから「最適化」と並んで「高度化」と訳すのが望まれる。
 

 

中国政府は中国企業の海外進出を奨励しており、これを中国語では"走出去"と表現している。"跨国"は国を跨るとの意味から「多国籍」、「グローバル」に当たる。"跨国企业"等としても良く見かける言葉で「多国籍企業」や「グローバル企業」のことである。"境外"は「中国本土外」即ち台湾・香港・マカオがこれに含まれ、日本語の意味合いから言えば即ち「海外」もしくは「国外」となる。
 

 

"未知"は「まだ知らない」から転じて、文章用語として「xxを知りたい」という疑問符として用いられる。"能否"は手紙文に使われ、会話での"能不能"に当たる。"样机"は「サンプル機」のこと。
 

 

"时已长久"、"无有回复"、"深为歉仄"、"敬请海涵"と見事に四字を羅列した手紙文。"仄"(zè)は「やましい」、「後ろめたい」ことで、"深为歉仄"は「大変失礼しました」との意味。"海涵"(hǎihán) は日本語では「海容」と言って「広く大きな心で過ち等を許す」意味。日本語からこのような中国語が書けるようになれば本物である。
 

 

"抵押"は「抵当に入れる」こと。"还清"は「全額返すこと」、"本息"は"本金和利息"の略語で「元利、即ち元金と利息」を指す。バンクローンは"银行贷款"と言う。
 

 

"扭亏为盈"(niǔkuīwéiyíng)は「赤字から黒字となる」こと。企業が損益に自己責任を取ることを中国語では"自负盈亏"と言う。
 

 

"咨询"(zīxún)はコンサルティングのこと。"购销"は「仕入れと販売」。市場経済化に伴い中国でのコンサルティング会社が増えている。
 

 

"分公司"は会社の支社、支店などで、法人格を持たないことを中国会社法で定めている。銀行の支店は"分行"(規模の大きい)、"支行"(規模の小さい)。本社に対する支社、支店の組織のことを中国語では"分支机构"と表現している。これに対し"子公司"日本語では「子会社」は本社とは別に法人格を有すると規定している。
 

 

10

"公司章程"は「会社定款」。"股东名册"は「株主名簿」。"股东大会"は「株主総会」。"置备"は備えおくこと。"置备"は大きな機械や設備を購入する意味にも使われる。
 

 

 

 

 

 

第2問 日文中訳

参考解答文の「 」内はなくとも良い。( )内は前の下線部分と互換可能部分。
 

 

 

これは国際市場に準じた価格ですので、貴方が大量成約されることを期待しています。
 

 

参考解答:

这是以国际市场价格为准的,「所以」我(方)期望(希望)贵方大量成交。
 

 

解説:

「~に準じ」は"以~为准" がベターだが、「基づいて」と解釈し"按照国际市场价格" "根据国际市场价格"でもよい。また「大量」も "大批量"でもよい。「成約」は 「契約成立」という意味で"签定合同" "签合同" "达成交易" でもよい。
 

 

用語:

用語:~に準じ、大量、成約、
 

 

 

これは特別仕様故、値段はやや高いが貴ユーザーの要望にぴったりであると考えます。
 

 

参考解答:

a.该货属于特殊规格,价格贵一些,不过(但)我想它完全符合贵方用户的要求。

 

 

b.它因为规格较特别,所以价格有一点儿贵,(但是)我方认为它很适合贵方用户的要求。

 

解説:

「特別仕様」は"属于"を用いて"属于特殊规格"がベター。「やや」は"比较" "稍微" "有一些" "有一点儿" でもよい。「ユーザー」を広い意味で"客户" "老主顾" でもよが、"用户" がベター。「要望」は"希望" でもよいが、「ぴったり」は"完全符合" "完全能满足""很适合"" 最适合"でもよい。
 

 

用語:

特別仕様、やや高い、貴ユーザー、要望にぴったり
 

 

 

是非今回はお互いに歩み寄り、このプラント契約を成功させたく存じます。
 

 

参考解答:

a.这次我们热望双方让步,使成套设备这笔贸易得以成交。
 

 

 

b.这次我们热切希望互相靠拢,让这一成套设备项目达成交易。
 

 

解説:

「是非」は"务必""必须""非~不可"はきつすぎる。「是非~させたい」は"热望"や"热切希望"がベター。「互いに歩み寄り」は"互相靠近"でもよいが、"让步""靠拢"がベター。「プラント(設備)」は"配套的设备"でもよいが、"成套设备"が良い。「契約を成功」は"成功地签(订)合同"、「取引」として"贸易得以成交"または"谈判成功"、「案件」として"项目达成交易"でもよい。
 

 

用語:

是非~させたい、互いに歩み寄り、プラント、契約を成功
 

 

 

双方の認識にずれが生じるのを避け、早く合弁ができるよう、覚書を交わしましょう。
 

 

参考解答:

a.为了避免双方产生认识上的分歧,尽早兴办合资公司,交换备忘录吧!
 

 

 

b.为了尽早兴办合资公司,免得两者之间的认识发生差异,我们签一份协议书吧!

 

 

c.让我们尽早交换备忘录搞合资,以免发生意见分歧吧!
 

 

 

d.为了避免产生认识上的分歧,交换备忘录,以便尽早兴办合资公司吧!
 

 

解説:

「認識のずれ」"意见分歧""不同的看法" "不同意见" "认识上的分歧"。 「避ける」は"避开""以免""免得""以便"が使えるが"以便"は少し重さが異なる。「合弁ができる」は"搞合资" "兴办合资公司"は「合弁で企業を興す」という表現。「 覚書を交わす」は"交换备忘录""签一份协议书""签协议"でもよい。
aとbは「認識のずれ防止と早く合弁」を目的にした表現。cは「認識のずれ防止」が主なねらいの表現。d「認識のずれ防止のため覚書を交わし」その重点は「早く合弁企業を立ち上げる」にある表現。
 

 

用語:

認識にずれが発生、避ける、覚書を交わす
 

 

 

現在の進捗状況からみて、合弁会社は来年3月には正式に開業できる見込みです。
 

 

参考解答:

a.根据现在的进展情况,合资公司明年3月份拟(打算、计划、准备)正式开张。
 

 

 

b.从目前的筹备情况来看,估计明年3月能正式开业。
 

 

解説:

「進捗状況」は"进展情况""筹备情况"以外に"准备工作进展"も使える。「開業」は"开始营业""开始经营"でもよいが、"开业""开张"がベター。「見込み」は"拟""打算""计划""准备""估计"などが使える。
 

 

用語:

進捗状況、開業、見込み
 

 

 

 

 

 

第3問 機能語の選択問題

 

 

 

解答:

而且

 

日本語訳:

ベターな輸送方式を採用すれば、貨物の安全が保障でき、目的地に速く到着できるだけでなく、しかも経費節約にもなる。 

 

 

「しかも」に相当する"而且"が最適である。"并非"は「決して~ではない」であるから、本文にそぐわないし、"而是"は「AではなくBである」という表現であるのでこの文には相応しくない。
 

解答:

即使

 

日本語訳:

たとえ中国の投資環境が絶えず整備されても、外国企業は依然としてさまざまな困難に遭遇するであろう。

 

 

したがって「例え…しても」に相当する"即使"が最適。"既然"は「…である以上」「…したからには」で"就"が後ろにくる。"既是"は後ろに"又是"がつき「AでもありBでもある」という表現である。
 

解答:

不是

 

日本語訳:

WTO加盟は中国にとりすべてが有利ということではないが、決して利益と弊害が釣り合っているものでもない。

 

 

したがって、"不是"つまり「ではないが」~でもないが適当。 "是否"はそうかどうかという疑問文であるから文末に?マークが必要。 "还是"はあれかこれかの選択疑問文であるからこれも文末に?マークが必要。
 

解答:

把好

 

日本語訳:

わが方が合弁契約書を審査批准する際、いずれも真剣に品質と数量の鍵を握らなければならない。

 

 

つまり、「しっかり鍵を握る」の"把好"が最適である。 "掌握"は状況などを把握する意味であるし、"批准"は批准でこの文には相応しくない。
 

解答:

处于

 

日本語訳:

中日関係は問題多発期にあり、本質から見れば両国関係は歴史的な過渡期にあるという現れである。 

 

 

したがって「~にある」に相当する"处于"が最適であり、"所处"と位置を示す言葉も不適当であり、また"处理"処理・処分の言葉も不適当である。
 

解答:

担任

 

日本語訳:

わが方は本日日本銀行より、貸し出し業務担当の佐藤先生をお招きしました。

 

 

したがって「担当」の"担任"が最適。 "经办"は営業として又は委託を受けて「取り扱う」「営む」であり、「~をする人」を指している文なのでここで"经办"は使わない。 "担保"は「担保」「抵当」で相応しくない。
 

解答:

估测

 

日本語訳:

できるだけ早く船腹ブッキングができるよう、どうかわが社宛にこの貨物の体積重量トンを見積ってください。 

 

 

したがって「見積もる」の"估测"が最適である。"评估"は「おおよその評価をして見通しをつける」であるし、"判断"も本文では相応しくない。

解答:

至少

 

日本語訳:

皆様は少なくとも百台注文すべきで、そうでないとわが方はこの価格を維持できない。

 

 

したがって「少なくとも」「最低~しないと」の"至少"が最適である。 "至今"は「今に至るも」、 "甚至"は「甚だしきに至っては」「~ひいては」のいずれも相応しくない。
 

解答:

接受

 

日本語訳:

日本語訳:我々の長期にわたる取引パートナー関係に配慮し、今回は例外として貴方の要求を受入れます。

 

 

したがって"接受"(受諾、受け入れ)が最適である。"接收"は「(物を)受け取る、受領」、"接到"は「受領した」書類などを「受け取った」であるので相応しくない。
 

10

解答:

由于

 

日本語訳:

上半期の受注量が元の計画をオーバーしたため、工場は昼夜兼行で生産をしている。

 

 

したがって"由于"が最適である。"因此"は「したがって」"虽然"は「~ではあるがしかし」で後ろに"但是"や"但"が必要であるのでこの文では相応しくない。

 

 

 

 

 

第4問 単語・ピンイン・訳語の3点セット
 

 

 

①shuāngyíng

②winwin、双方勝ち

③媒体

④メディア

⑤知识产权

⑥zhīshichǎnquán

⑦wǎngzhǐ

⑧URL、(インターネットの)アドレス

⑨反馈

⑩フィードバック、帰還
 

 

 

 

 

 

第5問 複合問題
 

 

 

 3つの設問から成る長文読解である。問1は第4問に似ているが、出題範囲はさらに広い。問2は虚詞の理解力を見るもので、問3は一定の貿易実務知識が必要である。3問とも、文章全体の意味を正しく把握することが前提になる。
 

 


 

1.

(a)环境

(b)升值


 

2.

(A)比

(B)将


 

3.

① わが国の輸出の増加率は、13%という世界全体の輸出貿易の増加速度を遥かに上回っている。

 

 

② 現在わが国は数年連続して、世界でアンチ・ダンピング提訴を最も多く受ける国になっている。

 

 

 

 

 

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