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日本ビジネス中国語学会 第16 回公開公演・シンポジウム |
2004/6/26 |
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私の中国ビジネスとビジネス中国語 |
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翻訳・通訳 |
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東浦 正重 |
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機械製品の売り込み、技術交流、技術ネゴ、商談、出荷、据付試運転からクレーム解決まで、30年間の色々な経験をお話し、今後機械貿易に携わる方の参考になれば幸いです。 1.略歴1966年 大阪外国語大学 中国語科卒業後、当時の友好商社呉山貿易に入社。 1967年 春季交易会より毎年交易会参加。 1970年 北京に滞在し、バルブ、計測器関係の貿易商談に本格的に参加。 その後、機械輸出専門に担当。 1978年 京都の紡績会社、吉村紡績株式会社 貿易部に転職。
吉村孫三郎会長が日本国際貿易促進協会京都総局の会長で、嵐山の周総理、記念詩碑建立の呼びかけ人代表であった関係から、嵐山で多くの中国の国家指導者にお会いする機会に恵まれる。また、会長に同行して北京訪問し、 1994年 機械専門メーカー三菱重工業株式会社 冷凍機製造部門 翻訳通訳専門要員として、再就職。技術資料の翻訳、工場立会い、訪中技術者の同行通訳その他中国との連絡業務、営業補助業務に従事。 その後、2年間のブランクをおいて、現在は、協力会社の社員として同様の仕事に従事。
2.現在の仕事内容製品概況冷凍機とは
工場、大型建造物、大規模ビルなどの冷房用の冷水を作る機械。 冷凍機の種類 1) スクリュー式冷凍機:スクリューの空間で冷媒のフロンを圧縮してフロンの蒸発により冷水を作る。中小型のビルなどの冷房に使用される。 2) 吸収式冷凍機: 真空の中で、水を蒸発させて、管の中の水を冷やす。臭化リチウムという水をよく吸い込む液体に水蒸気を吸い込ませて、又、蒸気、ガス、油で加熱して、臭化リチウムと水を分離して、繰り返えして、冷水を作る。ビル、工場、大型建造物など。 例: 関西空港、上海証券取引所ビル 3) ターボ冷凍機: ターボ式圧縮機で冷媒のフロンを圧縮して、フロンの蒸発により冷水を作る。 工場、大型建造物、地域冷暖房 例: 新しい広州交易会場(広州国際会議展覧センター) 三菱重工では、主にターボ冷凍機と吸収冷凍機を製造しているので、その関係の中国語に関する業務と営業補助。 3.取引の経験から思いつくこと1)売り込み改革開放までは、ほとんどカタログによる宣伝、及び見本市。特別に技術必要な場合、招請を受けて技術交流して売り込み。 カタログを色々集め、カタログを貿易窓口に送る、届ける、何とかアポイントを取って口頭で宣伝。カタログは、新しい引き合いを取る一つの手段。 改革開放後は、次第に移動も自由になり、ユーザーに直接アポイントを取り、カタログを持参説明。 例として、長沙で駅の看板を見て、ユーザーの存在を知り、魚網機を売り込みに成功。その後、別のユーザーからも注文あり。 現在は、入札制度になっているが、やはり第一にユーザーに製品を認識してもらい、入札募集の技術要求書類(仕様)を作成する手伝いをする程度にもっていく必要あり。その際、自社の仕様の一部を入れさせることができれば、落札したも同じ。 2)技術交流自社製品の特長をいかに説明するか、又、競合他社との比較表を作成し、自社の製品がすぐれているか強調する。この比較表は重要。 又、質問にはできるだけ丁寧に回答し、生産技術に属することは、言えなくても、製品の優れた点を強調できる点は、会社で許されるぎりぎりまで説明し、信頼を勝ち取る。要は自分の製品に対するファンをどれだけ作れるかにある。日本派、欧州派、アメリカ派などが必ずいる。技術交流していて、誰が技術のキーマンか見極め、その人の信頼を得る。 3) 技術ネゴ徹底した討論をして、決めたことはかならず覚書にして残す。その際、覚書、会談紀要の原稿はかならず自分で書くようにする。主導権をとること。ある程度のフォームがあるので、それにのっとり、事実のみを記入するようにする。中国側が書いた文章に手を加えるのは難しい。 特に、供給範囲を明確にして、含まれるものと、含まれないものは明確に記入しておく。能力がどこまで出るか、能力をどのように測定し、検収するかについては、必ず取り決めておく。 文章表現には、こだわること。一つのことばの解釈めぐり、2時間、3時間かけて討論し、作成していくぐらいの粘りが必要。あいまいなことをしておくと後で苦労する。 4)出荷機械の外観、中国の人にとっては大切な買い物。機械の外観、特に雑な溶接ビード及びその後処理、鋳物の表面処理、ペンキの塗り方などで、文句言うケースが多い。こんなことから、感情のもつれで、検収がうまくいかないケースが多々あり。 梱包、何十年経っても、機械を雨ざらしにしたりするケースがまだまだあり、梱包は最新の注意を払う必要あり。トタンで天井を覆うなど。 さびた場合、損害を中国側が負担するケースはないと考えるべき。海事検定協会に頼み出荷時の証明書を取って相手に送りつけておく。 5)調整試運転作業の予定表を提示し、それまでに準備すべきことを列挙しておく。 又、出発の最後の最後まで、現地の状況を把握し、行って無駄な時間を過ごすことのないようにする。 その日、その日の予定を中国側と打ち合わせし、効率よく、主導権をとって仕事を進める。 長年、調整試運転せず、放置して、部品をさびさせた例、及びその裁判の判例紹介。 6) クレーム処理能力が出ないクレームに対しては、相手が「返品だ。」と声高に要求してくる。実際問題、返品できないし、自分たちもその機械を使って早く生産したいが、交渉術として、「返品」を要求する。交渉を重ねて、部品の無償提供で解決可能か、又、何パーセントかの値引きで解決できるか見極めて、解決案を模索していく。解決の同意書も主導権をとり、こちらが文案を作る。すべての文章は作る方が作成する方が有利となる。 7) プロジェクトマネージャーの設置会社により、部門間の調整役がどうしても必要になる。 特に中国との調整、社内の各部門との調整など、プロジェクトごとに気をくばっている人が必要。営業部隊では、それができない。 4. 翻訳/通訳上での経験1) 誤訳必ず誤訳している可能性があるので、内容が分かる人に再チェックしてもらう。 他人の誤訳例: シールするパッキングを 梱包のパッキングと誤解して訳していた。 腐れ代(くされしろ)、保冷代などの代は、しろであり、洗濯代などの代とは、違う、これを料金の意味で誤訳している。 特に、来日した中国の人に翻訳を頼んだ場合、こういった誤解がある。逆を我々もやっていると思う。 堆高機 台湾では、フォークリフトのこと。大陸では、堆高とは、溶接でいう余盛のことで、余盛機と訳してしまった。台湾のヤフーで調べるとすぐに分かったはず。台湾の表現と大陸の表現で違いがある場合が多い。 2) 原稿ミスによる誤訳例技術者の原稿にミスタイプがある場合、特に最近ではワープロ変換ミスによる間違いがある場合あり。おかしいと思われる文章は依頼主に積極的に問い合わせする。技術者には、面倒がられるかもしれぬが、それにより大きなミスを防げるかも。 逆にミスでない場合が多い。 Rc-1/8 テーパーねじの表現 Rs-1/4 平行ねじの表現 3) 自分の辞書の準備
専門用語も辞書だけでなく、現地で収集した生きた言葉を中心に集めていく。 実物で、現地の人たちが何と言っているかを把握し、今後の通信等に生かす。この努力により、誤解を生じないようにする。 その業界で一般的に使用されている専門用語を使用するよう心がける。 業界他社のカタログ集めて、研究。最近では、インターネットのホームページから、カタログ収集。 専門用語の意味の学習 日本語の場合、各メーカーのホームページによって、用語解説をしている場合が多い。 例 これなどを見ながら、学習を進める。 又 日本工業標準調査会(JIS)のホームページから用語解説を閲覧する。このホームページでは、閲覧のみしかできないが、勉強にはなる。 中国のホームページにも、述語を解説しているメーカーがあり、それにより、中国語の意味を理解する。 4) 意訳と直訳技術的には、よくわからない文章については、直訳主義でいく。技術者の文章は、難解な言い回しが多い。作者は、誤解をうけぬよう書いているので、それを素人が勝手に解釈して、誤解を与えぬようにしたい。
例 私の訳 給客戸提供保養管理事項。 代理店の訳 向客戸要求進行維修保養。 作者は、管理する項目を一つ一つ提示して、保全管理をお願いしてくれとの意向である。しかし 代理店の訳では、保全管理しておいてくださいねと要求するだけで、どんな項目を保全してくださいと言う意味とはなっていない。 5) 正確に訳す。 例、大於 小於 等於英語の書類には、中国語の訳をつけよ。もし意味の違いが生じた場合、中国語を採用すると契約書に書かれている場合あり。正確な翻訳が求められる。 5. 翻訳していて気になる言葉1)工藝 一般的にプロセスと字引には載っているが、そのような意味でつかわれている場合と、「生産技術」の意味で使用されている場合があり、全体のながれで使い分ける必要があり。 2)承諾 最近特によくこの言葉が使用されだして、機械貿易では、アフターサービスについての「承諾」というような場合、約束或いは、誓約と訳さないと意味が通らない。 最近ビジネス上で使われている意味は、非常に重い。その約束を破った場合、それ相当の責任を持ちますの意味があると考える。日本語のたんなる承諾しましたの意味ではないと思う。 3) 簽収 中国側に書類、物品を渡した場合、必ず、受け取ったという書類を取っておく必要がある。直接の担当が不在で、代わりに受け取ってもらう場合など、必ずインボイスなどを作成して、「簽収」してもらっておく。これは、後で起きうるトラブルを防げる。 4) 機組 冷凍機を中国語では、制冷機と訳す場合と制冷機組と訳す場合があります。中国は、本体だけでなく、起動盤や制御盤なども含めて一つのユニットと考えているので、機組という言葉を使用するようで、日本語に訳す場合、機械ユニットと丁寧に訳す必要がない場合もある。 5) 備案 これは、ただ書類を役所に送り、記録として保管してもらうだけで、承認を得るとか、その他の意味はまったくない。 6) 環節 ポイント、部分と訳されるようだが、機械関係では、もっと適当な訳語がないかと思う。 7) 専項 伊地知辞書では、特定項目、特別プロジェクトと訳されているがもっと他の意味で使われている場合があるように思われる。 8) 論証 現代漢語詞典では、論述並証明となっている。ビジネス関係では、そのプロジェクトをいろいろな人が集まって、議論討論し、研究することを言う場合が多い。まだ 「論証の段階である」などと言われる。 9) 標準 日本工業規格の規格という意味で使われる。 10) 規格 日本語では、仕様と訳す。台湾では、規範で仕様の意味の場合あり。 大陸でも、規範を使う場合あり。 11) 平台 コンピューターで使う場合が多く、プラットフォームと訳すようだが、その他の文章でも最近よく見かける。今後、研究必要。 板金加工の言葉などでは 定盤(じょうばん)のことを平台と言う。 12)協調 歩調をあわせる。調整するという意味ですが、特に機械納入後の据付会社、施主との「協調」を十分にやるようになどとよく見かける。 13) 系統 システムと一般的に訳しておけばよいようにも思うが、冷凍機などでは、「冷水系統」、 「冷却水系統」などの場合、システムと訳すとおかしくなる。 14) 帰口 窓口となるということで、中国の国家規格などを訳していると、よく出てくる。 まだまだ辞書には、載っていなくて、訳するのに困ったと言う言葉がたくさんあると思います。 これらの言葉を交流しあってお互いに向上していきたいと思っています。 現在使用しています、冷凍機業界の専門用語を別添の資料にまとめましたので、参考にしていだだきたいと思います。 以上
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