近代中華民国法制の構築 習慣調査・法典編纂と中国法学
上製
西英昭
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出版社:九州大学出版会 |
出版年:2018年02月 |
コード: 404p ISBN/ISSN 9784798502199 |
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一大空白地帯となっていた近代中国法史に確固たる研究基盤を構築すべく、清末から中華民国期にかけて展開した法典編纂・習慣調査・法学につき、文献学的・人物学的方法を縦横に駆使して中国・日本・西洋におけるそれぞれの展開過程を整理する。 第一部では法典編纂を担った諸機関の経緯が整理され、並行して展開した習慣調査、特に中国史研究の基本資料である『民商事習慣調査報告録』の成立過程が克明に描写される。また民国期の諸立法の欧米諸語への翻訳とその流布の様相が紹介され、次いで中華民国民法に至る立法過程における中国人たちの議論、またフランス人法律顧問Jean Escarraの議論の特徴が提示される。 第二部では大正期を中心とした日本における中国法学の展開、さらには中華民国法制研究会の活動経過が詳細に分析され、また当時活躍した法律顧問や中国各地で近代法制を教授した講師陣に関する人物研究が展開される。第三部では旧オランダ領東インドにおける「中国」法学と、それを受けて戦前戦後に活躍したvander Valkの業績が回顧される。 いずれも中国近代法史研究を遂行するに当たって必要となる史料批判に必要不可欠な前提を提供するとともに、改めて基礎研究の重要性についても問いかける画期的労作。
目次: 凡例 序
第一部 清末・北洋政府期における法典編纂と習慣調査 第一章 法典編纂機関の変遷 一 法典編纂会の成立 二 法律編査会の展開 三 修訂法律館の変転 四 修訂法律館の終局 第二章 習慣調査の展開 一 清朝末期の習慣調査 (1)憲政編査館(調査局)における調査 (2)修訂法律館系統及びその他の調査 二 民国期の習慣調査 三 テクスト校勘の試みと商事部分の復元 第三章 中華民国諸法の欧米語への翻訳 一 大清律例の欧米語への翻訳 二 中華民国法制の欧米語訳――英仏語訳を中心に 三 Jean Escarraの訳業とLe droit chinois 四 Francois TheryとLe droit chinois moderne叢書 第四章 民法草案の作成 一 史料状況に関する基礎情報の整理 (1)各種民法草案を巡る史料状況 (2)判例を巡る史料状況 二 清末民国民法立法史瞥見 夫婦財産制を素材として (1)大清民律草案を巡る変遷 (2)民国初期の状況 (3)立法当時の議論 三 Jean Escarraの慣習認識、その立法との関係
第二部 近代日本における中華民国法学の展開 第五章 大正期における中華民国法学の展開 一 台湾旧慣調査「その後」――満鉄調査部 二 東亜同文書院 三 公的諸機関による調査 四 山口高等商業学校 五 慶應義塾大学と早稲田大学 第六章 中華民国法制研究会について 一 会の設立とその活動状況 二 史料の利用に関する諸問題 三 村上貞吉とその周辺 第七章 岡田朝太郎 一 岡田朝太郎の生涯・岡田朝太郎に関する文献 二 岡田朝太郎の留学 三 刑事法関連の著作 四 清国法典編纂関連の著作 五 川柳関連の著作 六 コラム・エッセイ・その他の著作 第八章 修訂法律館・各地法政学堂・民国期の顧問及び法学者 一 修訂法律館の法律顧問たち 二 各地法律学堂・法政学堂の顧問たち 三 民国期の法律顧問たち
第三部 欧米における中華民国法学の展開 第九章 オランダにおける「中国」法学 一 van der Valkに至るまでのオランダ「中国」法学 (1)研究状況と諸前提の整理 (2)初期の「中国」法学とSchlegel (3)大清律例の翻訳とYoung (4)「中国」法学の興隆とFromberg (5)オランダにおける慣習法研究と中国、及びその他 二 van der Valkとその「中国」法研究 (1)履歴について (2)最初期の研究 (3)博士論文から中華人民共和国成立まで (4)中華人民共和国成立後の研究 (5)後期の諸研究 (6)van der Valk以外の同時代「中国」法研究
結びに代えて
あとがき 索引
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