思想史のなかの日本語 訓読・翻訳・国語
上製
中村春作
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出版社:勉誠出版 |
出版年:2017年05月 |
コード: 272p ISBN/ISSN 9784585210412 |
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「日本語」はどのように形づくられ、また語られてきたのか― 古来、東アジア世界さらには西欧との異文化接触にさらされてきた日本。 人びとは文化的他者との邂逅の中で、その思想とことばを鍛え続け、日本の言語空間、そして「知」の制度を作り上げてきた。 そしてまた、この「他者」という問題意識は一方で「純粋な日本語」というものを創造する装置ともなっていた…。 近世から近代日本にかけての日本語の成立に対する歴史的な視点、そして、それとともにたえず編制され続けてきた「思想の言語」をとらえなおし、「日本語とはなにか」という問題を論じる意欲作。
目次: はじめに
〔第Ⅰ部 訓読と日本の思想〕 一 訓読の思想史 一 訓読とは何か 二 近代日本の書き言葉の起源 三 訓読に向けられた視線 四 訓読法の変遷は何を物語るか 五 訓読の思想史への視座 二 日本思想史の課題としての訓読 一 訓読は「時代遅れの代物」か 二 〈文化の翻訳〉としての訓読 三 近代日本と漢字、漢文 四 転換点としての徂徠「古文辞学」 五 訓読の変容―宇野明霞と皆川淇園― 三 訓読・書き下し文という〈翻訳〉 一 二つの書き下し文 二 江戸期の訓読法と日尾荊山『訓点復古』 三 送り仮名の働き 四 中江兆民の言語的、思想的「跳躍」 五 書き下し文と思想の〈翻訳〉 四 近世日本儒学の言語と論理 一 森田思軒の試行 二 翻訳と思想の生成 三 朱子学の言語と論理 四 朱子学の流入と訓読の成立 五 朱子学の言語の解体、「主体」「主語」の行方 五 海を渡った訓読―近世琉球の言語世界― 一 訓読文で流通した儒学書 二 琉球における和語の流通 三 薩摩を介しての「漢文」と朱子学の移入 四 泊如竹の来琉と訓読の普及 五 多言語世界を生きた琉球知識人
〔第Ⅱ部 可能性としての日本語論〕 一 日本朱子学、崎門派の言語 一 崎門派へのアプローチ 二 「内部」を形成する「語り」 三 「祖述」の世界 四 「語り」に即して析出される「内部」 五 崎門派における経典注釈の言語とその行方 二 「敬語」論と内なる「他者」 一 小津安二郎の「日本」=「日本語」 二 「敬語」論のディスクール 三 「敬語」の起源 四 教育と文化、そして「敬語」 五 内なる「他者」の発見 三 国語教育と日本語教育と 一 ディスコミュニケーションの所在 二 「近代の学知」という視座 三 近代日本の成立と国語・国語教育 四 可能性としての日本語教育学 四 漢字、漢文、訓読を再び問う 一 あらためて論題となった漢字、漢文、訓読 二 国民国家論、近代批判の中での日本語論 三 近代「知」の枠組みに向けられた「問い」と、日本語への視点 四 日本語論を開いていくこと 五 江戸から明治への言語思想史
初出一覧 あとがき 索引 人名索引 書名・論文名等索引
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