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現在に生きる魯迅像 ジェンダー・権力・民衆の時代に向けて
湯山トミ子
出版社:東方書店
出版年:2016年03月
コード:00812   464p   ISBN/ISSN 9784497216052
 
価格 4,400円
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著者のこれまでの「ジェンダー」「権力」「民衆」を視点とした魯迅の分析・考察をまとめる。これまでに発表された魯迅作品の日本語訳ではほとんど留意されていなかったが、魯迅は「狂人日記」のなかで「子供」に関する言葉を使い分けており(男女、幼長の別)、それらが示す魯迅の真意を考察する第1章、「鋳剣」の中から「母・魯瑞」「旧妻・朱安」「新妻許広平」との新たな関係への魯迅の決意を読み取る第3章、「革命家」ではない自身と革命の関わり方についての魯迅の考えを詳説する第4章、そこから魯迅の思想を現在の「マルチチュード」概念につなげる終章などに著者の独自性を見いだせる。補論1は、魯迅の祖父周福清の事績をまとめた旧稿の増訂版となっており、現在も参考価値が高い。

構成
はじめに
序章 魯迅における弱者観――二つの形成基盤
 一、少年期における弱者体験――生家の没落と家族体験、ジェンダー観の形成
 二、青年期における弱小民族としての体験――被圧迫民族としての弱者観と民衆観の形成
 三、日本留学期の文芸運動――弱者と強者、権力、ジェンダー観
第一章 前期魯迅――「人」なき中国に「人」を求めて
 一、中国旧社会の人間存在――儒教社会と民衆像
  (一)「狂人日記」の基本
  (三)「負」の民衆像と社会構造
  小結
 二、「人」の世界の創造――「人」の誕生と社会変革のプログラム
  (一)子女解放の理論構築――「父と息子」から「父母と子女」へ
  (二)子女の解放と社会変革
第二章 転換期の思想形成(1)――南下前史
 一、魯迅五四時期の小説作品にみるジェンダー観
 二、「愛と性」の葛藤――男性性とジェンダー観
  (一)男性の系譜――「長明灯」から「孤独者」、「傷逝」へ
  (二)「孤独者」
第三章 転換期の思想形成(2)――「性の復権」と「性の定立」
 一、眉間尺物語と「鋳剣」
  (一)眉間尺物語
  (二)「鋳剣」の材源
 二、「鋳剣」物語分析――孝子伝から愛と復讐の文学へ
  (一)愛の復讐者――眉間尺の人物形象の再考
  (二)愛と憎しみの復讐者の結合――復讐の儀式
 三、「鋳剣」再読――「性の復権」と「生の定立」
  (一)眉間尺と母――母子分離と「性の復権」
  (二)眉間尺と黒い男――同志の連帯と愛の成就
  (三)「鋳剣」物語世界の構造と特色――魯迅の再生「生の定立」
 小結
第四章 社会権力との闘い――奪権なき革命と文学者魯迅の使命
 一、魯迅の中国社会観、歴史観の成熟
 二、一九二七年言説――背景と内的基盤
 三、革命と文学――『革命時代の文学』
 四、「同伴者」〈同路人〉作家と魯迅
 五、文学と革命と政治――「文芸と政治の岐路について」
 六、「生」を希求する抵抗主体と権力――殺されない者としての戦闘
終章 民衆の時代――弱者の力と支配的権力との闘い
 一、新しい民衆概念「マルチチュード」とは何か?
 二、魯迅と「マルチチュード」
 三、 闘う母性と民衆――「愛」と「共(コモン)」の世界へ

補論1 魯迅の祖父周福清
(魯迅の祖父周福清試論――事跡とその人物像をめぐって〈増補版〉)
はしがき――旧稿再録にあたって
はじめに
序章 周福清研究と周福清
 一、周福清研究の経過
 二、先行する周福清像事績――科挙不正事件まで
 一、科举の道
  (一)挙人へ
  (二)翰林院庶吉士
  (三)翰林院散館
  (四)散館試験の謎
 二、金谿県知県時代
  (一)初任務
  (二)弾劾・免職
  (三)弾劾事件の原因と窓味
 三、内閣時代
  (一)内閣、内閣行走時代
  (二)内閣中書時代
第二章 科挙不正事件をめぐって
 一、事件の内容と経過
  (一)事件の内容
  (二)事件の経過
  (三)多様な事件解釈
 二、事件の特徴
  (一)噂の大きさ
  (二)事件の処理について
 三、周福清と事件
  (一)親戚友人からの依頼
  (二)内的動機
  (三)残された問題
 四、下獄と死
  (一)下獄
  (二)存命の謎
  (三)釈放から死へ
終章 周福清ノート――周福清の人柄
 一、「罵人」(人の悪口)
 二、驕りと信念
 三、「官迷」(科挙と官職に心を奪われた人)
 四、女性問題
 五、教育観
小結
おわりに
補論2 魯迅と毛沢東――求められたのは「生命か奪権か?」
はじめに
 一、「聖人魯迅」の誕生
  (一)「聖人伝説」の基点
  (二)魯迅の方向こそ中華民族の方向
 二、毛沢東と魯迅の著作
  (一)毛沢東と愛読書『魯迅全集』
  (二)毛沢東「魯迅に学ぶ」
  (三)毛沢東と雑文
 三、「もし魯迅がまだ生きていたら?」
  (一)最初の問いから現代の論争へ
  (二)毛沢東への問いと回答
 四、「聖人魯迅」誕生の背景と魯迅崇拝の意味
  (一)政治的背景――青年、知識人層の動員
  (二)魯迅崇拝の始まり
 五、権力と生命
  (一)知識人と権力
  (二)権力の奪取――魯迅と毛沢東の対峙
  (三)魯迅崇拝と偶像化
  (四)魯迅自身の回答――もし魯迅がまだ生きていたら?
 結びにかえて
おわりに
本書収録論文初出、及び主要関係論文一覧
魯迅と家族の略年譜
主な参考文献
索引

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■編著者紹介
成蹊大学教授。成蹊大学法学部政治学科卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科中国文学専攻修士・博士課程単位取得修了、愛媛大学、成蹊大学助教授を経て現職。専門は、中国近現代文学、中国社会文化論、中国語教育。主な研究課題は、魯迅、中国の家族と子ども、ICT活用型中国語教育(学術賞5回受賞)。主な著作は、『アジアからの世界史像の構築』(主編著、東方書店、2013年)、「通過“孩子”相関的詞匯再談魯迅五四時期的思想特征与意義――《狂人日記》“吃人世界”的結構与児童観」(張鴻声等編『世界魯迅与魯迅世界』中国伝媒大学出版社、2014年)、「愛と復讐の新伝説“鋳剣”――魯迅が語る“性の復権”と“生の定立”」(『成蹊法学』65号2007年)、「撫養と贍養――中国における扶養システムと親子観」(『家族の変容とジェンダー』第12章、日本評論社、2006年)、「聖なる“母”とその呪縛」(中国女性史研究会編『論集中国女性史』所収、吉川弘文館、1999年)、ICT活用型中国語教育システム&プラン“游”(2006~2009年)、中国語音声教育データベースシステムの開発(2000~2005年)。
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