上海は、中国のなかでは都市としての歴史は新しい方であるが、近代においては日本との濃密な関係を作り出し、現在ではもっとも日本人が多く暮らすという、日本人にとって常に気になる都市といえる。本書は、近代の上海における日本と中国の人々の交流や、上海という街の歴史的佇まいを「幕末」「豫園」「租界」「交友」などのテーマを通して紹介する。 ●編著者のことば 私としては、本書によって多くの方に、外国租界とは違うもう一つの上海の姿、上海を舞台とする人と人との交流、なかでも日中交流の様子を知って頂きたいと強く願っている。(本書「おわりに」より)
●構成 はじめに―市街に刻まれた歴史 第一章 幕末の武士と上海の人々 千歳丸の上海訪問/江戸時代の日中関係/長崎から上海へ/アヘン戦争と上海租界/太平天国と上海/武士たちの見た中国/高杉晋作と陳汝欽/名倉予何人と王家の人々/王氏一族と上海社会/名倉と日清修好条規/遣欧使節団と中国の人々/千歳丸の帰国 第二章 上海の歴史と豫園 現在の豫園地区/上海の歴史/中国の城隍神/上海の城隍廟と豫園/上海商業と沿海市場/豫園の公所/遊覧の地としての豫園/中国の同業団体/上海の都市社会と社会問題/上海の善堂と社会事業/ある上海商人の形象/豫園地区の変遷 第三章 王韜の上海交友録 王韜の上海脱出/王韜の生涯/王韜の改革思想と洋務運動/王韜の日本観/晩年の王韜/メドハーストとの出会い/キリスト教の中国布教/墨海書館の出版活動/王韜と西洋人宣教師たち/王韜の上海対話録/王韜の上海交友録/「狂士」と上海都市社会/管嗣復との別れ 第四章 いくつかの「上海交遊記」 イザベラの見た上海/イザベラの見た中国の労働者/『官場現形記』の世界/李伯元と上海ジャーナリズム/胡適の上海時代/胡適と中国公学の友人たち/谷崎潤一郎の「上海交遊記」/一九二〇年代の上海/田漢と谷崎/内山完造と魯迅/魯迅と野口米次郎/上海戦の傷あと おわりに 〔主要参考文献〕
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