●編著者のことば 古代巴蜀の開国伝説を調べてみると、四川には、太古に養蚕(蚕叢王伝説)、柏樹信仰(柏灌王伝説)、鵜飼(魚鳧王伝説)、太陽信仰(杜宇伝説)、霊亀信仰(開明王鼈霊伝説)、聖石崇拝(禹の石紐伝説、開明王国の石筍)を伴う稲作文化を基礎とした固有の文明が存在していたことがわかる。……もちろん、それらの多くは、四川に起源する四川固有のものではなく、四囲からもたらされたものであるが、四川盆地に流入したそれらが、湿潤温暖な四川の風土に、華北乾燥地帯の畑作文化を基礎とした黄河文明には見られない、固有の文明を創ったことは事実である。(「都広の野―四川と長江文明」第10章より)
●構成 まえがき 都広の野―四川と長江文明 1 巴蜀行/2 石紐探訪/3 蚕陵行/4 謎の戈基人/5 宝墩遺跡発掘/6 魚鳧考/7 杜宇考/8 鯀・禹・鼈霊/9 巴人と蜀人/10 巴蜀と日本 補論1 杜伯国考 はじめに/1 杜伯国成立をめぐって/2 杜伯死後の杜氏の行方/3 杜伯国と蜀の杜国/まとめ 補論2 巴人と賨人 はじめに/1 巴人と廩君蛮/2 賨銭四十と板楯蛮/3 賨人と巴氐/4 華人・巴人・廩君・槃瓠/まとめ あとがき