2001年度日本ビジネス中国語学会
第十回ビジネス中国語(商务汉语)
検定試験 4級 解答と解説

第1問 ピンイン問題①
解答 A 1④  2③  3②  4④  5④
   B 1②  2③  3②  4②  5③
   C 1②  2③  3②  4①  5③
解説
 4級検定で必ず出題される中国語の発音の基本が出来ているかどうかを問う問題。4級受験者は大学などで行われている初級中国語をほぼマスターした水準であることが求められる。出題されている単語は、ビジネス中国語には欠かせない基本単語である。従って日常これらの単語を正確に発音できるように心がけておくことが先ず大切である。中国語の初心者によく見かけられることであるが、二文字からなる単語を音読する場合、どうしても前の字を強く読み、後ろの字は軽く読んでしまう傾向がある。このため単語の発音を記憶するときもえてして後ろの字の発音がおろそかになりがちである。

Aの出題は発音のすべての要素、つまり音節のつづりと声調の両方の正確さが求められる。
1. においては先ず③と④のいずれかから選べるようにななっていて欲しい。「格」の字の声調は、日本人が苦手とする第2声である。
2. 「限」の発音については、この字が日本語の音読みにおいて「ん」がつく発音からして中国語の発音においても音節末尾に「n」がつくことに注目。
3. 第4声が続く組み合わせである。前の第4声と後ろの第4声の読み方は、厳密に言うと出だしの高さが、やや異なる。後ろの方がやや低めである。
4. 「合」の発音は、特に母音の読み方の正確さが求められる。「e」の母音としての発音が「エ」ではないことは言うまでもない。「資」の発音についても、「z」の後ろの「i」は「イ」ではないことは言うまでもない。子音「z,c,s」の後ろの「i」の発音を今一度確認しておこう。
5. 第3声+第4声の組み合わせが正解。特に第3声から始まる単語については低い出だしが大切である。

Bの出題は声調の組み合わせを問う問題である。最初の単語の読み方自体が間違っていると、正解のしようがなくなる。いずれも基本単語といってもよい単語であるから、日常的に正しい音読ができるようにしておくこと。ちなみに各出題単語の声調組み合せを記すとこうなる。
(1)第1声+第4声
(2)第4声+第3声
(3)第4声+第1声
(4)第3声+第2声
(5)第2声+第3声

Cの出題は共通の母音を探す。
1. 出題文字の母音は「i」。難しいのは同じ「i」の母音でも、前に来る子音によって発音の仕方が異なることである。③ ④とも母音は「i」であるが出題文字の母音とは発音が異なる。このことについては(A)の(4)の解説も参考にされたい。
2. 出題文字の母音は「ou」。紛らわしいのは「uo」の母音もあること。
3. 出題文字の母音は「ian」。紛らわしい「iang」との違いを確認しておこう。
4. 出題文字の母音は「uan」。これも前に来る子音によって読み方が異なる。③は「suan」であるが読み方が異なる。
5. 出題文字の母音は「ie」。これも「ei」や「ai」などとの区別を確認しておこう。

第2問 ピンイン問題②

解答
1 参观 工厂  工場を見学する
2 个人 电脑  パソコン
3 顺利 完成  順調に達成する
4 电话 号码  電話番号
解説
 簡体字の書き方もチェックされるので、正しい書き方を習得しておくこと。
次のような訳でも可。
1 工場を参観する  2 パーソナルコンピュータ 3 順調に完成する、させる。など。

第3問 用語選択

解答
1.③  2.③  3.②  4.③  5.②
解説
1. 訳は「彼に10日までにレポートを提出するように言っておいたのに、彼は15日になって出した。」であるから「ようやく15日になって」という意味の③を選ぶ。
2. 訳は「彼らは私に再度説明を求めたので、やむなくもう一度説明した。」後ろの文が完了形になっていることに注目。2回目の動作の完了形につきうる副詞は③.
3. 訳は「私は彼をよく知っているが、彼は私をあまりよく知らない。」後ろの文中に既に「却」があるが、同じ意味の②との連用は一向に差し支えない。
4. 訳は「何か私に聞きたいことがあれば、FAXを送ってください。」これだけでも文としての完成度はある。補うとすれば前半の仮定を表す語③しかない。
5. 訳は「この2台のテレビは外観はあまり変わらない。」「どちらの方が性能が更によいか。」この二つの文をつなぐ言葉は②「見分けられない。」が適当。ちなみに①は「見て内容を理解できない」、③は「見ることが出来ない、見てはいけない」などの意味。

第4問  並べ替え問題(各5点)
1.あなた方はどれに興味をお持ちですか:你们对哪一种有兴趣?
「…に興味を持つ」は介詞“对”を使って“对…有兴趣”というフレーズで表現する。
「どれ」は「どの種類」とパラフレーズして“哪一种”で表わせばよい。

2.いつご都合がよろしいでしょうか:不知道您什么时候方便?
「あなたがいつ都合がよいか、わたしは存じません→あなたがいつ都合がよいか、わたしにお知らせください」という推論を経て、問題文の「いつご都合がよろしいでしょうか」に当たる中国語ができあがる。
文頭に“(我)不知道”を置くこの表現パターンは便利なので覚えておこう。

3.山口部長が皆様によろしくとのことです:山口部长叫我向各位问好。
「…によろしく」は“向…问好”、これを用いて「山口部長が皆様によろしく」に当たる“山口部长向各位问好。”ができあがる。あとは「…とのことです」で示されている伝達のニュアンスを“叫我”によって表現すればよい。正解文は直訳すれば「山口部長が私に皆様へよろしくと言わせた」という意味である。

4.CIF価格をオファーしてください:请给我们报CIF价格。
 「オファーする」の基本形は“报价 bào//jià ”という離合詞。ここでは「CIF価格」であるから“报CIF价格”となる。ちなみに「CIF価格」とは「運賃保険料込みの価格」で中国語では“到岸价格”。「FOB価格(本船渡し価格)」は“离岸价格”。

5.商品代金は必ず信用状で支払っていただきます:货款一定要用信用证支付。
 「商品代金は」から始まっているこの文は、中国語でも“货款”を文の主題として文頭に置けばよい。「商品代金」“货款”とともに「罰金」“罚款”、「公金」“公款”、「貯金」“存款”、「寄付金」“捐款”、「賠償金」“赔款”などの関連語彙もあわせて覚えておこう。
「信用状で支払う」のような道具や手段をあらわす助詞「で」には介詞“用”が対応する。

第5問  中文日訳問題(各4点)
1)在保险方面,我想向您请教几个问题。
模範解答:「保険のことについて、二三お伺いしたい点があります。」
“向…请教”は「…に教えてもらう/…にお伺いする」という用法で使う。「…にお教えする」のではないことに注意。
2)看了样品以后,我们觉得质量不怎么好。
模範解答:「サンプルを拝見して、品質はさほどよくないと感じました。」
“不怎么好”は“不太好”と同義で、「そんなにはよくない」という部分否定の表現。

3)您看我们是不是需要见面谈谈?
模範解答:「私たちはじかにお会いして話しあう必要があるんじゃありませんか。」
文頭の“您看”は、話し言葉に常用され、話し相手の注意を引きつけるニュアンスを持つフレーズ。文中に挿入されている“是不是”は「…ではないでしょうか」というとまどいを表わす成分。

第6問  日文中訳(各5点)
1.午後二時にお伺いいたします。
模範解答:下午两点我去拜访您。
 日本語では敬語の「お伺いする」を使えば「わたしがあなたを訪ねる」意味が含意されてわざわざ「誰が誰を訪ねるのか」を明確に言う必要がないが、中国語では主語と目的語をはっきり言って文意を明確にする必要がある。

2.中国語の説明書はありますか。
模範解答:有中文说明书吗?/有没有中文说明书?
 “中文”は文字としての中国語、“汉语”は音声としての中国語という性格がつよくなる。したがって「中国語の説明書」は“中文说明书”がふさわしく、「中国語のスピーチコンテスト」は“汉语演讲比赛”がふさわしい表現となる。

3.スケジュールについて相談しましょう。
模範解答:咱们商量一下(商量商量)日程安排。
 日本語の「相談しましょう」で表わされている「提案(軽い命令)」のニュアンスは、中国語では“動詞+一下”(商量一下)や“動詞の重ね型”(商量商量)を用いて表現することができる。

4.あなたは広州交易会に参加したことがありますか。
模範解答:你参加过广州交易会吗?
 過去の経験「…したことがある」は“動詞+过”、その否定形は“没(有)+動詞+过”で表わす。「広州交易会」は“广交会”と略されることもある。

5:ホテルはあなた方の会社から遠いのですか。
模範解答:饭店离你们公司远吗?
 遠近距離を測る基点は介詞“离”で導く。同じく日本語で「…から」と訳されても移動の起点のばあいは“从”を用いる。

 

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