日本ビジネス中国語学会 第19 回シンポジウム

  2005/6/25

 

元駐在員の中国雑感

 

 

    神戸学院大学客員教授  

 

 

野中 靖介

 

 

 

  ビジネス中国語学会の皆様、このたび入会させて頂きました野中靖介です。

 今後とも宜しくお願いいたします。平成15年3月電通を定年退職して4月より神戸学院大学で中国語会話と外書講読を教えています。

 私は吉林省長春の生まれで昭和21年に日本に引揚げてきました。生まれた時から中国と縁があったと思います。中国語との出会いは大学の第2外国語に中国語を選んだからです。その後電通に入社13年間は中国とは全く関係のない部署にいましたが、対中ビジネスの拡大により電通も中国に拠点を作る必要が出てきました。この時、社の拠点作りとその運営の一助になりたいと自ら手を挙げました。以来24年間中国ビジネスに携わってきました。80~91年の11年半と98年~2001年の3年半は上海に駐在し合弁の広告会社をきりもりしてきました。

 「お客様は神様です」この言葉は、スポンサーをかかえる広告屋の心情をよく表わしてます。しかしこの中国ではお客様は神様だけでなく私は「皇帝」と呼んでいる中国のメディア特にテレビは超売り手市場で、我々にとっては手ごわい相手なんです。その上に中国のローカルスポンサー「大魔神」がいて、扱いが取れてもすんなりとは払ってくれません。社業を伸ばすため、この神様・皇帝・それに大魔神とのコミュニケーション作りを最重点にしました。この関係がうまくいかないと、実務は前進しないと思ったからです。

 お陰で呑ミニケーションの回数もふえました。中国のテレビや新聞に広告をオンエアーしたり掲載する時、売り手市場ゆえ殆どが前払いが条件です。それとは反対にスポンサーからの入金は、オンエアー後であり掲載後であるので、この前払いの資金を常に調達出来るように準備しておく必要があります。

 私はこの広告料金の早期回収と、メディアへの支払いを少しでも遅らすための諸策を練り、実行することにかなりの力をつぎ込みました。皆様もよくご存知ですが、今中国はあくまでも資本主義経済のシステムを取り入れ、自国の豊かさを求めながら、社会主義的資本主義の道を右肩あがりで前進中です。

 中国の広告産業は経済発展と歩調を合わせる様に毎年2ケタ台の高成長を維持しています。アジアで日本に次ぐ巨大な市場として顕在化しつつあり、新しい成長業種の一つです。

 媒体系、民族系に加え海外の広告会社の市場参入が相次いでいます。それに対してスポンサーは広告会社に日本並みのクオリティと中国並みの安い料金を求めてきます。「『扱い獲得』のため激烈な競合にいかに打ち勝っていくか」が広告会社にとって大きな課題です。

    以上

 

 

 

 

 

 

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