中国・本の情報館~東方書店~
サイト内検索
カートを見る
ログイン ヘルプ お問い合わせ
トップページ 輸入書 国内書 輸入雑誌  
本を探す 検索 ≫詳細検索
東方書店楽天市場店「東方書店plus」
楽天市場店 東方書店plus
 
各種SNS
X東方書店東方書店
X東京店東京店
X楽天市場店楽天市場店
Instagram東方書店東方書店
Facebook東京店東京店
 
Knowledge Worker
個人向け電子書籍販売
 
BOOK TOWN じんぼう
神保町の書店在庫を横断検索
 
日本ビジネス中国語学会
bei_title  
 
 
 
   
東京便り―中国図書情報 第34回 .

 北京っ子の読書スタイル:紙よりもデジタルが優勢
  市民閲読レポートで――中国図書関連ニュース

   
   

北京・王府井書店の店頭北京っ子の読書量は、年間一人当たり10.88冊で、国内トップレベル。読書スタイルは、全国的傾向を裏付けるかのように、北京でも「紙よりもデジタルが優勢」であることがわかった――。

今回は、このほど北京で明らかにされた市民の「閲読総合評価レポート」のほか、最新の中国図書関連ニュースを4本まとめてお届けしたい。

 

   
 

■北京っ子の読書傾向:小説と健康ジャンルが人気

中国人の読書傾向をうかがう「全国国民閲読調査」報告によると、2015年の中国人の読書(閲覧)率は、電子メディアが紙メディアを抜き去って大躍進を遂げたことは、すでに小欄でもお伝えした。覚えておいでの方もいらっしゃるだろう。
同調査は、中国の活字メディアを専門とする国家級研究機関「中国新聞出版研究院」が実施。ユネスコの世界図書・著作権デー(世界読書デー:4月23日)に合わせて、毎年春に発表されているものだ。

東京便り―中国図書情報 第28回「中国人の読書調査でデジタル閲覧躍進」

これに対し、首都北京の市民たちの読書傾向についても、このほど明らかとなった。国家新聞出版広電総局と北京市政府が主催する読書キャンペーン「北京閲読季」が公表した「2015-2016年度 北京市全民閲読総合評価レポート」によるもの。
それによると、北京っ子の紙メディアの本における読書量は(年間)一人当たり10.88冊だった。
これは前述の2015年(第13次)全国国民閲読調査による読書量一人当たり4.58冊を大幅に上回るものであることがわかったという(北京晩報)。

調査方法は、個別訪問などによるサンプリング調査で、市内全16区の7~70歳の市民を対象に行われた。
同レポートによれば、2015-2016年度の「北京市総合閲読率」(読書率、閲覧率 ※)は92.24%で、紙メディアの本の読書量は前述の通り一人当たり10.88冊、前年比1.39冊の増加だった。また、デジタル閲覧率は83.57%で、前年比5.39ポイントの増加だった。
「総合閲読率」「紙メディアの本の読書量」「デジタル閲覧率」の3大指標から見ると、北京市はいずれも国内トップレベルであることがわかったという。

※ ここでいう閲読率(読書率、閲覧率)とは、「年に1冊(紙誌)以上、図書または新聞・雑誌を読む人の割合」。

北京っ子の読書傾向をジャンル別で見ると、閲読率による人気順に「文学・小説」(46.16%)、「健康・養生」(31.35%)、「歴史・伝記」(25.03%)、「時事・政治」(21.78%)、「地理・旅行」(17.76%)。
そのうち文学・小説ジャンルは各世代に好まれていて、40歳以下では50%を超えていた。また健康・養生ジャンルは50歳以上の43%に好まれていた。これにより北京っ子の読書の関心は、ざっと小説や健康ものに集中していることがわかる。

北京の大型書店・王府井書店また、北京市民がどこで本を買うかについては、リアル書店が依然として多かった。この間(2015-2016年度)においては、有効回答を出した市民のうち61.86%がリアル書店で本を買ったことがあった。
一方、オンライン書店で本を買ったことがあったのは同58.54%で、前年比14.48ポイント増。オンライン書店のユーザーが急増していることが明らかとなったもので、この勢いが続けば、来年あたりは利用先でオンライン書店がリアル書店を上回る結果となるかもしれない。

読書において紙とデジタルのどちらを利用するかについては、紙メディアの本の読書率(79.72%)に対し、パソコン、携帯電話、タブレット端末などを使ったデジタル閲覧率は83.57%(前年比5.39ポイント増)。紙メディアの本の読書率を3.85ポイント上回っていたことがわかった。

前述の2015年全国国民閲読調査でも明らかとなったが、中国人の読書スタイルは、電子メディアが紙メディアを抜き去ったことが、北京市でも改めて証明された形となった。
世界の流行や最新テクノロジーに敏感な中国の人たち。
ひるがえって日本人の読書スタイルは、今後どのように変化するだろうか?

 
 

■中国作家協会、3人の官僚会員を除名 汚職腐敗の罪で

中国作家協会はこのほど、公式サイト上で3人の官僚会員を除名したと発表した。いずれも刑法に触れて有罪が確定、「中国作家協会規約」第26条により、同協会書記処が3人の除名を決定したもの(北京青年報)。

そのうちの1人、張景山は、遼寧省農村工作委員会の元副主任。2013年10月、汚職腐敗の容疑で逮捕された。収賄額が莫大だったとされている。
2人目の方竟成は、浙江省金華市文物局の元局長。2014年6月、収賄罪で懲役10年6カ月、財産10万元(1元は約16円)没収の判決を受けた。金華市文物局長の在任中に、同市博物館を建設するにあたり職権を乱用して関係者から何度もワイロを受け取っていた。収賄額は計33万元に上ったという。
3人目の李永新は、河南省安全生産監督管理局の元党組書記・副局長。地元の石炭会社を10年余り管理しており、職権を乱用した。2014年2月、約290万元の横領、約887万元の収賄、6450万元の公金私用の罪で、無期懲役の判決を言い渡された。

いずれも著作を持つなどして中国作家協会に入会していたが、同協会の規約違反により除名された。中国作家協会が官僚会員の除名措置をとったのは、2009年の第1回以来、今回で5回目。除名は計12人に上るという。
「反腐敗」キャンペーンが強化されている中国。文化界においても、反腐敗スタンスの踏襲が明らかにされた模様だ。

    

■中国国家図書館:日本戦犯裁判の文献データバンクを構築へ

中国国家図書館の外観中国の国立図書館で、アジア最大級といわれる北京の中国国家図書館はこのほど、「日本戦犯裁判文献データバンク」を構築することを明らかにした(光明日報)。
これは第二次世界大戦後に行われた、マニラ軍事裁判、極東国際軍事裁判(東京裁判)、GHQ裁判(丸の内裁判)といった日本(指導部)の戦争犯罪に対する裁判の文献を、世界中から収集し、データ化して保存しようとするもの。

国家図書館の韓永進館長によると、同データバンクには、
(1)これまでに北米、欧州、日本などから集めた、第二次世界大戦中の日本の戦争犯罪に関する資料(200万ページ余り)
(2)中国語、英語、日本語、ロシア語、ドイツ語など多言語におよぶ『対日戦犯裁判文献叢刊』シリーズ(各種計3066冊)
(3)現在、アメリカ、イギリス、日本、ドイツ、ロシアなどの国・地域の資料(史料)館との協力で収集している各種資料(文字記録、書籍・雑誌、音声・動画、写真・ポスター、手紙・日記など)
――といった膨大な資料が、初めて全面的に集められることになる。

国家図書館はこのほか、「日本対華調査資料の整理とデータ化」「抗日烈士名録データバンク」「抗日戦争および近代中日関係文献データ・プラットホーム構築」などの国家級(国家社会科学基金)抗日戦争研究の特別プロジェクトに引き続きかかわっていくという。

韓永進館長は「これらデータバンクの構築は、日本侵略の最大の被害国であり、世界反ファシズム戦争の戦勝国である我が国が、その歴史的地位と発言権からの必然の要求として国家を守るのみならず、中国侵略の歴史をゆがめる日本の右翼勢力に反論する有力な武器となる」と述べている。


  

■中国国家博物館:「15-19世紀日中韓絵画精品展」を開催 11/5~12/18

抗日戦争資料のデータ化に力を入れる図書館がある一方で、北京の中国国家博物館では日本や韓国との共同企画展を継続して開催している。
11月5日から北京の同博物館でスタートしたのが、「東方画芸――15-19世紀中韓日絵画展」(日中韓絵画精品展)だ。
この展覧会は、2006年から行われている日本、中国、韓国3カ国の国立博物館長会議に基づく活動の一環で、中国国家図書館、東京国立博物館、韓国国立中央博物館が主催。2014年に東京国立博物館で開催された特別展「東アジアの華 陶磁名品展」に続く2回目の国際共同企画展になるという。

「15-19世紀日中韓絵画精品展」今回は、3館がそれぞれ収蔵する15世紀から19世紀を代表する絵画の名品を、文人絵画、風俗絵画、仏教絵画の3つのテーマで展示。中国は明から清、韓国は朝鮮王朝、日本は室町から江戸、明治の各時代にわたる絵画、合わせて52点が展示される。「長い交流の歴史をもつ3カ国の絵画作品をテーマごとに比較することで、文化的影響や各国独自の特徴を知る」(主催者)ことが、開催の狙いだという。

日本からは、重要文化財である江戸時代の与謝蕪村の「山野行楽図屏風」、歌川国政の「隅田川の花見船図」などが展示されるほか、中国からは明初の文人画家、王紱(おうふつ)の「北京八景図巻」、清代・無名氏の「釈迦牟尼仏タンカ」「耕織図冊」といった貴重な名品が披露される。

会期は12月18日まで。国家博物館は、北京の天安門広場の東側に位置する、世界最大級の総合博物館だ(2003年に「中国歴史博物館」と「中国革命博物館」が合併)。

3カ国の逸品を、間近に鑑賞することができる、またとない企画展。
この機会に、北京におられる方は、訪ねてみてはいかがだろうか。

*中国国家博物館 公式サイト
  http://www.chnmuseum.cn/ 
*「東方画芸――15-19世紀中韓日絵画展」サイト
  http://www.chnmuseum.cn/Portals/0/web/zt/20161105painting/ (中国語)
  http://jp.chnmuseum.cn/tabid/631/Default.aspx?ExhibitionLanguageID=628 (日本語・一部)
   

 
     

 

 

小林さゆり
東京在住のライター、翻訳者。北京に約13年間滞在し、2013年に帰国。
著書に『物語北京』(中国・五洲伝播出版社)、訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)、
『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』(CCCメディアハウス)などがある。

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
  b_u_yajirusi
 
 
     
   
中国・本の情報館~東方書店 東方書店トップページへ
会社案内 - ご注文の方法 - ユーザ規約 - 個人情報について - 著作権について