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2010年09月  今年300万台を販売!?
 中国で躍進する電子ブック
   
   

NO.1シェアの電子ブック端末「漢王電紙書閲読器 T61」米アマゾンの電子ブックリーダー「Kindle」(キンドル)や米アップルの多機能情報端末「iPad」(アイパッド)に熱い視線が注がれる中、中国でも電子ブックに注目が集まっている。
中国の「数字(デジタル)出版」の総生産額は2009年に799億4000万元(1元は約13円)に達し、前年比50.6%増を記録。史上初めて紙媒体のそれを抜いた。さらに「数字出版」は2010年にも急成長し、総生産額は1000億元を突破すると見込まれているという。
※中国出版科学研究所『2010年中国数字出版年会年度報告』より(『人民日報海外版』―人民網2010年8月2日付)
http://culture.people.com.cn/GB/87423/12310833.html

「数字出版」には、CD-ROM やDVD-ROMといったデジタルコンテンツも含まれているが、このところ急伸しているのが電子(電紙)ブック。
中国で「電子書」(電子ブック)という場合、一般に、①コンテンツ ②電子ブックリーダーなどのハードウェア ③電子ブック閲覧ソフトの3つの要素を含むという。
うちハードウェアだけを取ってみても、国産メーカー「漢王科技」(漢王、Hanvon Technology)の端末がシェアを伸ばすなどして、2010年の販売数は前年比約4倍増の300万台に達する見込みだ(『文匯報』―新華網2010年7月7日付など)。
http://news.xinhuanet.com/book/2010-07/07/c_12306474.htm

「甲骨」から「木簡・竹簡」「紙」に続く第4世代の文字媒体といわれ、関心を集めている電子ブック。中国市場で躍進する電子ブックの今をのぞいた。

   
 

■最大手「漢王」、上半期に40万台出荷

ビジネス誌の特集では紙の本の“死亡”を予測ボロボロの古書の上には、小さな白菊が置かれている。それが黒い色で縁取られ、まるで遺影を思わせるかのようだ。
中央には英語表記で「BOOK」と記され、さらには「2018年,書籍死亡?」(2018年に書籍が死亡する?)という衝撃的なタイトルもある。
これは昨年10月、中国の人気ビジネス週刊誌『第一財経週刊』が電子ブックを特集したときの表紙。
特集では同年秋に開かれた世界最大のブック見本市「フランクフルト・ブックフェア」を取材し分析した上で、伝統的な紙の本は「2018年に最後を迎える」と大胆にも予測して耳目を集めた。電子ブックが紙の本に取って代わるというわけだ。

ビジネス誌の特集記事になるくらい、電子ブックは中国で“注目株”となっている。
09年末までに、中国で生産された電子ブックは累計60万種。電子ブックリーダーの販売数は、09年に約80万台だったのが2010年には300万台(世界市場の20%)に急増し、売上高は約60億元に達するだろうと見込まれている。

中国市場における電子ブックリーダーだが、iPadは8月現在、未発売(一部密輸品が出回っている。9月にも中国聯通=チャイナ・ユニコム=が国内で正式発売するとの情報も)。
Kindleは「淘宝網」(タオバオ)などのネットショッピングサイトで輸入品が発売されており、新型の第3世代で電子インクディスプレイを採用した「Kindle DX」の相場は3000~3500元(約4万~4万5000円)。
米国で現地時間7月7日から出荷されたKindle DXは、定価379ドル(約3万2600円)で売り出されている。中国では“希少価値”とマージンがついて、多少割高になっているようだ。

これら外国産に対して、中国市場で気を吐いているのが「漢王」や「智器」「愛国者」「紐曼」などの国産メーカー。
とりわけ電子ブック端末メーカー・漢王は、電子ブックリーダーの中国シェア1位。2009年には約26万7000台を販売。今年の上半期だけで約40万台を出荷したという(『長江日報』―新華社7月8日付など)。
http://news.xinhuanet.com/book/2010-07/08/c_12311372.htm

新製品の「漢王電紙書T61」は、Wi-Fi 内蔵電子ブックリーダーで、約3260冊の書籍コンテンツと16曲のMP3音楽データをプリインストール。タオバオの公式店舗で、定価3580元で販売されている。お値段的には中国の若いサラリーマンの平均月収ほどと安くはないが、人気商品となっている。
北京あたりでも近ごろは、地下鉄車内で電子ブックを読みふけるサラリーマンや学生の姿が目につくようになった。もとよりオンライン配信の“ネット小説”は数年前から若者の間で人気があった。ヒット数が高まれば単行本として再生産され、やがてはベストセラーになるケースも数多くある。
デジタルと紙のメディアが拮抗しつつ、共存している姿がそこからは窺える。
 国産電子ブック端末「漢王」は、2010年上半期だけで40万台を出荷

■端末のニセモノ工場400社

上海世紀出版集団が開発した「辞海悦読器」こうした流れを受けて、出版社側もつぎつぎとオリジナルの端末やコンテンツを発売している。
今年に入ってからを見ても、電子ブックリーダーでは上海世紀出版集団の「辞海悦読器」、中国出版集団公司傘下の人民文学出版社、商務印書館などが共同開発した「大佳閲読器」、重慶出版集団と漢王が共同開発した「読点経典閲読器」、それに人気誌『読者』が発売した「『読者』電紙書」……。
5月には、携帯電話キャリア中国最大手の中国移動(チャイナモバイル)が電子ブックリーダー事業に正式に参入し、市場はもはや“群雄割拠”の様相を呈している。

だが一方で、“戦国時代”の混乱期であるだけに、さまざまな問題が浮上しているのも確か。
例えば、中国新聞出版総署科技・数字出版司(局)の張毅君司長はこう語る。
「現在、中国で知的財産権や生産権を持つ電子ブックリーダーのメーカーは、44社。しかし、ある関係者の推計によれば、リーダーのニセモノ工場はすでに400社に上っている」(『中国経済週刊』―新華網2010年7月1日付)。
http://news.xinhuanet.com/book/2010-07/01/c_12284467.htm

中国では「ePad」「iped」などというiPadのコピー機や密輸入品が出回っていることでもよく知られる。

それだけではない。
コンテンツの未成熟、端末フォーマットの不統一、顧客サービスの悪さ、市場参入・退出システムの不備などの問題も一部で指摘されている。
市場の整備と成熟化が待たれるわけだが、こうした中で、官民の共同による管理強化も進められている。
中国新聞出版総署(国家版権局)が管理する「中国文字著作権協会」(北京)はこのほど、同協会に「数字(デジタル)版権認証センター」を設立。漢王など大手メーカーと共同で、電子ブック業界の著作権保護の管理、産業の発展という課題に取り組んでいくという。
「集団的管理こそが、現状の著作権問題を解決するカギとなる」と国家版権局版権管理司の董維仁副司長は、管理の強化に自信を強める(同『中国経済週刊』)。

■ライフスタイルと意識を変える

では、改めて電子ブックの魅力とは何か?
「電紙ブックの宣教師」といわれる漢王科技の劉迎建会長は先ごろ、電子ブックによるペーパーレスの未来について、こんな「10大予言」を明らかにした(『文匯報』―新華網2010年7月7日付)。

人気雑誌『読者』の専用端末① 10年後の子どもたちは、重いカバンを背負わなくていい。教科書も練習問題も宿題もすべて1台の電子ブックの中でできる。宿題の提出も教師による添削も、オンラインでやりとりすればOK。
② ファッション誌から文学雑誌まで電子ブックで閲覧できる。病院のカルテにしても電子メモを使えばいいのだ。
③ 本好きの引っ越しに困らない。
④ 書店は将来、図書館になる。読者はそこで好きな本のコンテンツを入力し、著作権料を払えばいい。
⑤ 人気作家はたくさんの読者を抱え、著作権料によって莫大な富を得るだろう。
⑥ 多くの書籍、新聞、雑誌がデジタル化され、紙が不要になる。ネットを通じたダウンロードが主な伝播方式になる。
⑦ 電子ブックリーダーは無料か低価格で提供。コンテンツのダウンロードを課金式にする。
⑧ 電子ブックリーダーを多機能型にして、パソコンの一部と携帯電話、テレビの機能を備える。
⑨ 書籍や雑誌のデジタル化、多メディア化で、人々の読書タイムがより増えるだろう。
⑩ 中国のデジタル化が世界のトップレベルまで進めば、著作権保護意識も高まり、中国はクリエイティブ産業強国になるだろう――。

電子ブックが、人々の読書習慣からライフスタイル、意識までをガラリと変える、というのが劉迎建会長によるポジティブな未来像だ。
 中国政府もこれを後押ししており、上海新聞出版局報刊処の陳麗処長は「政府当局もデジタル出版業の発展を支持している。ペーパーレスのための政策化を進めているところだ」と語る(同『文匯報』)。

中国の大手IT関連メーカー、方正集団の方中華・高級副総裁は、国内の電子ブック市場について「(基盤作りに)まずは連盟を作ること。それが健全な発展につながる」という。
「作家や出版社、取次会社、ハードやソフトのメーカーなど、産業上かかわりのあるすべての機構・関係者が連盟に加盟すること。それにより、中国語フォーマットや著作権保護の基準、定価の原則などを決める。さらには政府当局への働きかけや(ルールの)法制化を進めて、共益のビジネスモデルを作るのです」(同『文匯報』)。

2010年――中国は、電子ブックの“流行年”を迎えているのかもしれない。

 
   
   
bestsellere
総合
 

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2010年8月5日~8月11日

     
第2位:『山楂樹之恋』

第4位:『銭文忠解読《弟子規》』

第6位:『這輩子只能這様嗎?』

第7位:『毛沢東最後七年風雨路』

第8位:『苦難輝煌』

第9位:『孔令謙談:会喫才健康』
 

1.『好媽媽勝過好老師』(よい母はよい教師に勝る)
尹建莉・著 作家出版社


2.『山楂樹之恋』(サンザシの樹の恋)
艾米・著 江蘇人民出版社 2009年12月初版(精装新版)


初版は、雑誌『当代』の07年度長編小説読者賞、『亜洲週刊』07年度華語小説1等賞など数々の賞を受賞。そしてこの春、張芸謀(チャン・イーモウ)監督が本書を原作とした同名映画をクランクインしたことで、再び話題となっている。
文革時代、地主の血縁という出身が悪いと迫害を受けていた女子学生・静秋だが、ある時、他の学生たちとともに地方の村で体験生活をし、教材を編むことになる。
村長の家に世話になるが、そこの“三男坊”が静秋を見初め、最初は懐疑的だった静秋もしだいに心を通わせる。しかし卒業、就職と彼女の歩みを静かに見守っていた三男坊だが、白血病に侵され若くして他界してしまうのだった……。
中国メディアは張芸謀監督の新作に対し、「『私の父、母』(日本語題「初恋の来た道」)を超えるか?」「史上最高の清純派映画」などと注目しており、相乗効果で本書も売れ行きを伸ばしている。 


3.『1Q84 BOOK2』
村上春樹・著(日) 施小煒・訳 南海出版公司 2010年6月初版


4.『銭文忠解読《弟子規》』(銭文忠『弟子規』を解読)
銭文忠・著 中国青年出版社 2010年8月初版


大人気のレクチャー番組、中国中央テレビ(CCTV)「百家講壇」の講座をまとめたもの。著者は現在、復旦大学歴史学部の教授で、これまでにも同講壇をまとめた『銭文忠解読《三字経》』などの著作がある。
『弟子規』(原題『訓蒙文』)は、清代康煕年間の知識人・李毓秀が著した処世訓。親孝行や兄弟友愛のススメ、真面目であること、修養を積むことなどを説き、子どもへの啓蒙や社会の規範教育に最適なテキストだという。
北京の中関村図書大廈でこのほど開かれた銭氏の出版サイン会では、3時間で4300冊余りが売れるという人気ぶりだった(「北発図書網」)。 


5.『歴史是個什麼玩意兒4』(歴史って何だろう4)
袁騰飛・著 希望出版社


6.『這輩子只能這様嗎?』(原題『Your Own Worst Enemy』、君自身が最大の敵)
ケネス・W・クリスチャン著(米) 江蘇文芸出版社 2010年8月初版


国際的な心療内科医で、企業コンサルタントの著者による“自己を突破するための本”。
「何をしても続かない」「成功が近づくと、やりたくなくなる」「全力を傾けなくていいから、本来の能力以下の仕事をする」「いつもネガティブな気持ちになる」……。
現状を打破できないこうした人たちを変えるために「潜在能力をフル活用するプラン」を提唱。新しい習慣を身につけ意識を変えることで、夢を実現させる方法を説く。このプランは、モトローラ、ウォルマート、ゼネラルエレクトリックなどの世界的企業に導入され、社員のモチベーション向上に役立っているという。 


7.『毛沢東最後七年風雨路』(毛沢東最後の7年 風雨の路)
顧保孜・文 杜修賢・写真 人民文学出版社 2010年6月初版


「紅牆女作家」(赤い壁の女性作家)といわれ、『跨出中南海』などの政治読み物を手がけてきた作者が、毛沢東の晩年であり文革の混乱期でもあった1970~76年の主要なできごとを記録。林彪事件、批林批孔運動、周恩来の死去、唐山大地震、病に侵された毛沢東の孤独な晩年など、歴史の内側が描かれる。
新華社のカメラマンで同社の中南海撮影組副組長だった杜修賢氏が、約200枚もの秘蔵写真を提供している。
「中国の艱難辛苦の時代を振り返り、毛沢東の晩年を再現する」と編者推薦の言葉にある。 


8.『苦難輝煌』(苦難輝く)
金一南・著(米) 華芸出版社 2009年1月初版


中国共産党の早期の歴史を、国際的観点から解読した歴史書。「我々はかつて奴隷だった。さもなくば1840年から1949年までの中華民族100年の零落はなかった。我々も英雄を擁した。さもなくば1949年から2050年までの中華民族の100年の復興はなかった」と本書。
中国メディアには「戦略的意識をもって歴史を評価し、なおかつ随筆のような深い味わいがある」と評されている。中国共産党中央宣伝部が全党員、役員幹部に推薦した「重点図書」だという。 


9.『孔令謙談:会喫才健康』(孔令謙が語る:食べて健康に)
孔令謙・著(米) 化学工業出版社 2010年1月初版


中国人が病気にかかりやすくなる3大体質とは、中医学によるところの「陰虚」(栄養に富む体内の水液が不足すること)、「内熱」(内臓に熱を持つこと)、「脾湿」(脾臓の機能が衰え湿滞となること)という状態なのだそうだ。
本書は中医学の「孔氏医学の伝承者」だという著者が、食による健康的な体づくりの方法を伝授。
例えば「春は肝臓、夏は心臓、秋は肺、冬は腎臓をそれぞれ保養する」として、季節ごとに何をたくさん食べ、何を控えたらいいかという「四季養生」の秘訣などをわかりやすく解説する。 


10.『杜垃垃3:我在這戦闘的一年里』(杜拉拉3:私のこの戦闘の1年で)
李可・著 江蘇文芸出版社 2010年5月初版


 
     

 

 

文・写真 小林さゆり
日本の各種メディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中。
著書に『物語北京』(五洲伝播出版社)
訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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